バイオナノカプセル(Bio-nanocapsule)はバイオテクノロジー(Biotechnology)によって産み出されたナノ(Nano)サイズのカプセル(Capsule)です。バイオナノカプセルは脂質二重膜にB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)が浮かんだ構造を取った中空状粒子です。膜結合型タンパク質であるHBsAgを遺伝子組換え酵母で発現させると、酵母由来の膜脂質にHBsAgが浮かんだ粒子を形成しますが、これがバイオナノカプセルです(図1..参照)。HBsAgはウイルスの脂質二重膜を貫通する領域を持ったSタンパク質、Sタンパク質のN末にpre-S2領域が延長したMタンパク質、これに更にpre-S1領域が延長したL-タンパク質があります。バイオナノカプセルに発現しているタンパク質はこのLタンパク質で、肝細胞を認識するpre-S1領域を持っています(図2..参照)。
バイオナノカプセルを用いる利点
バイオナノカプセルを薬物送達システム用デバイス(DDSキャリア)として利用する場合、次のような利点が知られています。
| 1. |
バイオナノカプセルは直径70nmの中空のナノサイズの粒子です。(粒子径はタイプによって多少異なります) |
| 2. |
ヒト肝細胞を特異的に認識します。(ヒト肝細胞以外を認識するタイプものも開発済みです) |
| 3. |
細胞内へ粒子の内包物を積極的に導入する能力があります。 |
| 4. |
脂質膜と融合する能力があります。 |
| 5. |
リポソームと融合したものはPEG修飾と同様に細網内系への取込みを抑制します。 |
| 6. |
バイオナノカプセルの相同品であるMタンパク質で構成された粒子はB型肝炎ワクチンとして世界中で利用されている実績があります。 |
バイオナノカプセルの種類
バイオナノカプセルはもともとヒトの肝細胞を認識しますが、そのアミノ酸配列の一部を改変し、臨床開発用のもの、肝細胞以外を認識するものなど4種類のものが製造可能です。
| BNC-L: |
B型肝炎ウイルスの有するL蛋白質を提示したオリジナルのBNC粒子です。ヒト肝細胞に対して特異的な結合能を有しています。 |
| BNC-ST: |
Lタンパク質の一部のアミノ酸配列を改変することにより、抗原性を低減させた粒子です。BNC-Lと同様にヒト肝細胞を認識します。 |
| BNC-ZZ: |
Lタンパク質の一部をprotein AのFc ドメイン結合部位を最小化したzz-tagに改変した粒子です。抗体を容易に結合させることが出来、抗体による認識能をBNCに付与することが可能です。 |
| BNC-Bio: |
ビオチン化したBNC粒子です。ビオチンーアビジン結合により糖鎖、レクチン、ホーミングペプチド等の細胞認識分子の結合が可能で、結合させた分子の細胞認識能をBNCに付与することが可能です。 |
| HBsAg用BNC: |
HBsAg(B型肝炎ウイルス表面抗原)として利用可能な抗原活性の強いもの(BNC-X,BNC-XT)も製造しています。 |
細胞標的用特殊BNC: |
バイオナノカプセルの肝細胞認識部位を改変し、直接細胞認識部位を発現するタイプのものも製造可能です(受注製造により各種のBNCの製造が可能です)。 |